和装を身にまとうとき、多くの人が気にするのが「ヘアスタイル」。とくに20代から30代の女性は、結婚式や成人式、友人の披露宴など、さまざまなセレモニーで和装を着る機会が増える年代です。せっかくの晴れ舞台だからこそ、ただ着物を着るだけでなく、髪型にもこだわって“トータルで美しい”印象を目指したいところ。
しかし、洋装に比べて「和装に合う髪型ってどんなもの?」とイメージがわかず、スタイリングに迷う人もいるのではないでしょうか。アップスタイルが定番といわれる一方で、最近では“和×洋”をミックスしたアレンジや、あえて下ろし髪を取り入れたスタイルも人気を集めています。
本記事では、和装に合わせる髪型アレンジの基本ポイントから、ヘアアクセサリーの選び方や流行のミックススタイルまでを詳しく解説。髪型が決まると全身のバランスがぐっと引き締まり、着物姿が映えること間違いなしです。あなたのセレモニーシーンをさらに華やかに彩るヒントを、ぜひここから見つけてみてください。
着物には、洋装とは違ったラインやボリューム感があるため、洋装で映えるヘアスタイルが必ずしも和装に似合うとは限りません。和の雰囲気を引き立てるためには、以下のポイントを押さえておくとスムーズです。
・襟足やうなじが美しく見える
着物は、えり足が抜けたデザインが多いので、アップスタイルにして首元をすっきり見せると上品な印象を得やすくなります。うなじを見せることで、和装特有の色っぽさや女性らしさを演出できるのも魅力です。
・顔まわりをすっきりさせ、全体のバランスをとる
着物は、胸元から肩周りにかけてしっかり覆われることが多く、トップにボリュームを出したまとめ髪や、サイドをタイトに引き締めたスタイルがよく映えます。輪郭が隠れすぎると重い印象になる場合があるので、顔まわりを程よく見せることも重要。
・ヘアアクセサリーで華やかさをプラス
和装といえば、かんざしや組紐の飾りが王道ですが、パールやリボンなど洋風のアクセサリーをミックスしてもOK。着物の柄や帯の色とコーディネートし、全体の統一感を高めるとセンス良く仕上がります。
和装ヘアのなかでも、やはり定番はアップスタイル。うなじをしっかり見せつつ、髪をまとめることで、着物の華やかさを存分に引き立てます。ただし一口にアップスタイルといっても、アレンジ次第で印象は大きく変わります。
・シニヨン(お団子)スタイル
トップや後頭部あたりで髪をまとめたシニヨンは、落ち着きと大人っぽさが魅力。髪をタイトにまとめるとキリッとした印象に、少しルーズにほぐすと柔らかな表情になります。コームや簪(かんざし)を差すだけで手軽に和のムードをプラス。
・編み込みを取り入れたアップ
全体をゆるく巻いてから編み込みを作るアップスタイルは、若々しく華やかな雰囲気を演出。編み目を大胆に見せたり、逆に細かい部分に取り入れたりと、個性を出しやすいのも人気の理由です。
・後れ毛で顔まわりをやわらかく
かっちりまとめすぎるとフォーマル感は出ますが、髪型にボリュームが足りず地味に見えることも。耳元や襟足に少し後れ毛を残すと、程よい抜け感が生まれ、着物姿でも程よくリラックスした印象を与えられます。
最近では、ハーフアップやダウンスタイルを取り入れた「和×洋」ミックスの髪型も注目を集めています。「アップスタイルだけが正解」という固定概念を捨てて、自分らしいアレンジを楽しみたい方にぴったりです。
・ハーフアップ+和小物
顔まわりとトップ部分だけをまとめ、後ろ髪を下ろすハーフアップは、可憐さと清楚さのバランスが絶妙。ポイントは和のヘアアクセサリーを添えること。花柄の髪飾りや、水引をモチーフにしたアクセをつければ、一気に和装との親和性が高まります。
・ダウンスタイルで軽やかに
成人式の振袖や華やかな色留袖なら、あえてダウンスタイルに挑戦するのもあり。全体をゆるく巻いてボリュームを持たせたうえで、大きめのコサージュや飾りピンをサイドに配すると、可愛らしさとモダンさが同居。肩や背中周りの装飾とケンカしないよう、飾りのサイズ感に注意しましょう。
・顔まわりのアレンジで個性を
ハーフアップやダウンスタイルでは、前髪やサイドの髪の処理が重要です。前髪をかきあげ風に流すと大人っぽい印象に、斜めに編み込みを入れるとガーリーなテイストになります。和装の柄や色味、会場の雰囲気に合わせてアレンジを変えると、洗練度がアップするでしょう。
和装の華やかさを際立たせるには、ヘアアクセサリーが欠かせません。しかし、和風のデザインだけが正解というわけでもありません。着物の雰囲気に合わせて、どんなアクセを取り入れるかで全体の印象が大きく変わります。
・伝統的なかんざしや簪(かんざし)
“和”感を存分に出したいなら、かんざしや簪を使うのがベスト。金属製で繊細な細工が施されたものや、花モチーフのかんざしなど、種類は豊富です。まとめ髪の挿し位置や角度にこだわれば、大人っぽい色気もプラス。
・組紐リボンや水引飾り
よりモダンな和装ヘアに挑戦したいなら、組紐をリボン風に結んだアクセや、水引で作られた飾りを取り入れるのも素敵。ボリュームを出しすぎないよう調整しつつ、帯の色や着物の柄から一色をとって合わせると、統一感が生まれます。
・パールやクリアビジューで上品さを演出
振袖や色留袖が派手な柄の場合、アクセサリーはパールやクリアビジューなどシンプルなものにとどめると、しつこくならず上品に仕上がります。花嫁さんの和装にもよく取り入れられるパールは、どんな色味の着物でも合わせやすい万能アイテムです。
同じスタイルでも、髪質や長さによって仕上がりが変わることも。20代~30代の女性は、さまざまなヘアスタイルを楽しむ世代だからこそ、以下のポイントに目を通してみてください。
・ロングヘア
アップスタイルや編み込み、ハーフアップなど、アレンジの幅が最も広いのがロングヘア。まとめる前に全体をゆるく巻いておくと、華やかさがアップし、ピンやゴムで固定しやすくなります。髪が多い人は、ボリュームを抑えつつゴムを複数使うと崩れにくいです。
・ミディアムヘア
肩につくくらいの長さなら、ハーフアップや部分編み込みで華やかさを出すのがおすすめ。まとめ髪にするときは、下ろした髪がはみ出しやすいので、スタイリング剤でしっかり固定したり、外ハネを活かすアレンジを検討してみましょう。
・ボブ・ショートヘア
髪が短い場合でも、サイドだけ編み込む、前髪をかき上げる、華やかなヘアアクセをポイント使いするなど、手軽に和装映えさせる方法はたくさん。編み込み用の部分ウィッグやヘアピースを使えば、アップ風アレンジも可能です。
一生に何度もない大切なセレモニーだからこそ、美容師さんにヘアセットを依頼するのも賢い選択です。ただし、オーダーの仕方や事前準備次第で仕上がりが大きく変わります。
・イメージ写真やSNSを活用
「こんな感じにしたい」という画像やSNSのアカウントを見せると、美容師さんとの意思疎通がスムーズに。着物の柄やカラーに合わせたヘアアクセも一緒に持ち込み、当日相談しながら細かいニュアンスを詰めていきましょう。
・着付けとの時間調整を忘れずに
着物の着付けとヘアメイクは、どちらを先にするかによって時間配分が変わります。一般的には先に着付けを済ませてからヘアメイクを行う流れが多いですが、美容室のシステムや会場のスケジュールと合わせて最適な順番を検討してください。
・リハーサルや事前相談で不安解消
成人式や結婚式のように一度きりのイベントなら、リハーサルや事前相談を行うのがおすすめ。本番直前に「思っていたイメージと違う…」となるリスクを減らせますし、美容師さんも当日の段取りが把握しやすくなります。
自分で髪をセットしたい場合は、事前の練習と道具選びが大切。複雑なアレンジを無理に狙わず、手の届く範囲でおしゃれにまとめる工夫をしてみましょう。
・クッションブラシやコテで仕込みをしっかり
髪をきれいにまとめるには、まず絡まりをほどいておくことが基本。クッションブラシで髪全体を整え、コテやストレートアイロンで軽く巻いてからアレンジすると、ピンやゴムがしっかり留まりやすいです。
・アメピンやUピンの使い分け
前髪をサイドに流す場合や、細かい髪を押さえるにはアメピン。大きな毛束を固定するならUピンを活用するなど、ピンの種類を使い分けることで崩れにくくなります。ピンを隠すテクニックも動画サイトやSNSで多く紹介されているので、参考にしてみてください。
・仕上げのスプレーやワックスでキープ力アップ
和装では、セレモニー会場や移動時間が長くなることも。仕上げにハードスプレーやワックスを使ってキープ力を高めると、髪型が長時間崩れにくくなります。とはいえ、つけすぎるとヘアアクセが絡みやすくなるので量の加減がポイントです。
和装を着こなすうえで大切なのは、「着物のテイストや色味、そして自分の髪質や好きな雰囲気」に合ったヘアスタイルを選ぶことです。王道のアップスタイルで襟足を見せて大人っぽさを引き立てるもよし、ハーフアップやダウンスタイルで和洋ミックスのトレンドを楽しむもよし。そこに華やかなヘアアクセサリーを加えれば、20代から30代のセレモニーシーンをさらに盛り上げてくれることでしょう。
着付けやヘアメイクのプロに相談するのはもちろん、セルフアレンジでも動画やSNSを参考にすれば、意外と簡単にオシャレなスタイルが完成します。大切なのは、自分が一番輝ける髪型を見つけること。華やかな場にふさわしいスタイリングで、あなたの和装姿をさらに魅力的に仕上げてください。
「ヘアスタイル×和装」の組み合わせは可能性が無限大。アップにするか下ろすか、アクセサリーをどう取り入れるか、どこにボリュームを持たせるか…。何度も試してみる中で、自分らしさにしっくりくる髪型がきっと見つかるはずです。素敵な和装ヘアで、セレモニーの思い出を最高に彩りましょう。