結婚式は、新郎新婦にとって人生の一大イベント。その一瞬一瞬を写真や動画で残したいのは、ゲストとして当然の気持ちでしょう。SNSの普及により、式当日に撮影した写真をリアルタイムでシェアする流れも当たり前になりつつあります。しかしその一方で、「投稿のタイミング」や「どの写真をアップして良いのか」といったルールが曖昧で、トラブルや不快感を招く可能性も否定できません。
今回は、ゲストが結婚式で写真を撮影・SNSに投稿する際に気をつけたいポイントをまとめました。新郎新婦の意向を尊重しつつ、参列した友人やご家族にも配慮できるような撮影と投稿のマナーを知ることで、より気持ち良く結婚式を楽しむことができます。
式当日は、新郎新婦だけでなく、式場のスタッフやほかのゲストなど多くの人が写真に映り込む可能性があります。トラブルを防ぐためにも、撮影前に以下の点を確認しましょう。
・新郎新婦の方針を事前にリサーチ
最近では結婚式の招待状や公式ウェブサイトに「写真撮影・SNS投稿についてのお願い」が記載されている場合もあります。もし記載がなければ、親しい間柄であれば直接「撮影やSNS投稿は大丈夫かな?」と尋ねてみるのも良いでしょう。
・式場の規定やルール
一部の神社や教会、厳粛な儀式を行う会場では、挙式中のフラッシュ撮影を禁止しているところも。式場スタッフから「挙式中は撮影をご遠慮ください」とアナウンスがある場合は、それに従いましょう。
・他のゲストのプライバシーを尊重
友人知人だけでなく、新郎新婦の上司や親族、子どもたちがいる結婚式では、むやみに他人の顔が判別できる写真や個人情報が伝わる写真を撮ることは避けるべき。どうしても撮りたいときは一言「SNSにアップしてもいい?」と確認を取るのがマナーです。
結婚式は、最初の挙式から披露宴、二次会など、いくつかのステージに分けて進行することが多いです。それぞれのタイミングで守りたい撮影マナーを押さえておきましょう。
・挙式中のフラッシュ撮影は控える
厳粛な雰囲気が求められる挙式では、フラッシュの光やカメラのシャッター音が周囲の集中を乱してしまいます。儀式の進行を妨げないよう、挙式中の撮影は基本的にプロカメラマンに任せるか、フラッシュなしの静かな方法に留めるのが無難です。
・披露宴での余興やスピーチ中も注意
披露宴では、新郎新婦がテーブルを回ってゲストと写真を撮る場面もあり、撮影に向いているシーンが増えます。しかし、余興やスピーチの最中に立ち上がって撮影に夢中になるのはマナー違反。周囲の視界を遮らないよう、できるだけ席に座ったままで撮影するか、邪魔にならない位置へ静かに移動して行いましょう。
・子どもやスタッフへの配慮
結婚式で活躍するスタッフ(プランナー、司会者、式場スタッフなど)は業務中です。スタッフの顔が大きく映り込む写真は、個人の意図しない形でSNSに載せられるとトラブルを招くことも。また、子どもの顔写真は特に慎重に扱い、親に承諾を得たうえで投稿するのが望ましいです。
撮った写真をすぐにSNSにアップしたい気持ちは分かりますが、結婚式当日の投稿には気をつけるべき点があります。
・新郎新婦の「公式発表」を待つ
新郎新婦が披露宴の最中、あるいは式後すぐに自身のSNSを更新するかどうかは本人の自由。しかしゲストが勝手に式場の写真や新婦のドレス姿を先に投稿してしまうと、「主役の二人がまだ何も発表していないのにネタバレしてしまった」というケースになりかねません。正式に新郎新婦が写真をアップする、または「投稿していいよ」と許可を得てからが安心です。
・リアルタイム配信は控えめに
式のライブ配信やリアルタイム投稿は、他のゲストのプライバシーを配慮しにくいですし、進行の邪魔になる場合も。特にストーリーズなどで実況中継する感覚でアップするのは避け、落ち着いたタイミングで編集してから載せる方がトラブルを回避できます。
・ハッシュタグや位置情報の扱い
ハッシュタグや位置情報を付与する際は、新郎新婦がどこまで公開して良いと思っているかを考慮しましょう。「#〇〇式場」「#結婚式」など大雑把なタグは構いませんが、式場名や日付を細かく書くことで個人情報を連想させるリスクがないか注意が必要です。
SNSにアップする写真は「新郎新婦が喜ぶもの」「見た人が不快にならないもの」を前提に選別することが大切。さらに、添えるキャプションにも気を配りましょう。
・新郎新婦にフォーカスした写真
結婚式の主役はあくまで新郎新婦。彼らが映っていない、または顔がきちんと写っていない写真ばかりを大量にアップするのは、ややズレた印象を与えかねません。お祝いの気持ちを表すためにも、二人が映っている写真を中心に数枚を厳選するのがベター。
・ゲストや親族の写り込みへの配慮
他のゲストや親族が背後で大きく映っている写真を無断で投稿すると、肖像権やプライバシーの問題が生じる恐れも。どうしても載せたい写真で他人の顔がしっかり写っている場合は、スタンプやモザイク処理をするか、本人に許可を得てから投稿しましょう。
・コメントやキャプションはポジティブに
写真のキャプションで「〇〇さんのドレス可愛かった」とポジティブに言うのは良いですが、場の雰囲気を壊すような言葉や、新郎新婦のプライベートに踏み込みすぎるコメントは避けましょう。新郎新婦が見たときに喜んでくれる内容かどうかを基準に書くと失敗が少ないです。
たくさん撮った写真を新郎新婦やほかのゲストと共有したい場合、SNSに一括公開するのではなく、招待者だけがアクセスできるツールを使う方法もあります。
・オンラインアルバムサービス
GoogleフォトやAmazon Photos、Dropboxなど、特定のユーザーにのみアクセス権を与えられるオンラインアルバムを利用すれば、ゲスト同士で写真をやりとりしやすくなります。パスワード付きや招待制に設定し、セキュリティを担保することが大切です。
・SNSの非公開グループやコミュニティ
Facebookのグループ機能やLINEグループなど、クローズドな空間で写真を共有すれば、不特定多数に公開されるリスクを減らせます。特に親族や親しい友人だけが見られる場所を作れば、安心して盛り上がれます。
・新郎新婦へのプレゼントとしてまとめる
撮影した写真のデータを USB メモリやフォトブックにまとめて、新郎新婦に後日プレゼントするのも喜ばれる方法です。SNSには数枚だけ厳選してアップし、それ以外は二人にとっての思い出として手渡すと、サプライズ感もあります。
投稿が終わった後や、式の翌日以降のちょっとした気配りが、さらに好印象を残すポイントになります。
・お礼や感想を個別に伝える
SNSへの投稿だけでなく、新郎新婦に対して「素敵な式だったよ」「招待してくれてありがとう」という言葉を個別に伝えると、より気持ちが伝わります。LINEやメールなど、パブリックでない場所で言葉を添えると安心感が増すでしょう。
・不都合があればすぐに対応
もし新郎新婦や他のゲストから「この写真はできれば削除してほしい」「公開範囲をもう少し限定してほしい」といった要望があれば、迅速に対応すること。結婚式はあくまで人々の祝福の場、万が一のトラブルを円滑に解消できる柔軟性が大切です。
・今後のアップデートも配慮
結婚式後も「結婚記念日」などで思い出の写真を再投稿したくなるかもしれません。その際も、当時の状況を考慮しつつ、改めて新郎新婦やゲストのプライバシーに配慮したうえで行いましょう。
結婚式に参列してたくさん写真を撮り、その感動をSNSでシェアするのは素晴らしい行為ですが、同時に「結婚式は新郎新婦と親族、ゲストみんなの特別な場」であることを忘れてはいけません。撮影・投稿のタイミングや対象を間違えると、大切な日の雰囲気を損ねたり、当事者に迷惑をかけたりするリスクがあります。
今回ご紹介したように、①事前に新郎新婦の意向や式場ルールを確認する、②挙式や披露宴中の撮影マナーを守る、③SNSへの投稿タイミングや写真内容に注意を払う、④必要に応じてクローズドな共有方法を選択するといった基本を押さえることで、より円滑かつ気持ち良い写真シェアが可能になります。
いっそう思い出深い結婚式にするためにも、新郎新婦・ゲスト全員が楽しく過ごせるような配慮を心がけましょう。適切なマナーを守りつつ写真やSNSを活用すれば、遠くにいる友人や家族にも幸せを分かち合うことができ、結婚式がより多くの人にとってかけがえのない記念日となるに違いありません。