結婚式のゲストと聞くと、友人席や会社関係の席をイメージする方も多いかもしれませんが、実は「親族席」ならではの注意点やドレスコードがあります。新郎新婦の親や兄弟、親戚として列席する立場は、周囲の目も集まりやすく、ほどよい華やぎと品格を同時に求められる難しさも。
とくに30代前後の大人世代は「華やかさを保ちつつ、主役や他の親族と調和する装い」を目指したいところ。過度にカジュアルでは失礼にあたる場合もありますし、華美になりすぎると逆に浮いてしまうこともあります。
本記事では、「親族席で浮かない服装のポイント」をまとめてご紹介。服装の基本マナーから小物選び、季節に応じた工夫まで、幅広い視点から解説していきます。新郎新婦やご家族、会場スタッフにも「素敵な親族だね」と思われるような服装作りの参考になれば幸いです。
まず大前提として、親族席は「式をしっかりと支える立場」であることを意識しましょう。友人や職場の同僚とは役割が異なり、挙式や披露宴において、新郎新婦に代わってゲストを案内したり、挨拶をする機会が設けられる場合も。
そのため、マナーや服装にはより一層の配慮が必要です。フォーマルな結婚式では、親族は新郎新婦よりも目立つことのないよう、かつ会場全体の格式を損なわない装いが求められます。男性ならダークスーツを基本とし、女性なら落ち着いた色味のドレスや留袖を着るのが主流。最近では洋装の方が多いですが、格式高い和装を選ぶ親族もいらっしゃいます。
「主役を引き立てる」という意識を常に持ち、親として・親族としてのおもてなしの気持ちを服装でも表現できるとベストです。
親族として列席する場合、挙式の場面ではあまり派手な色を避け、ネイビーやグレー、ベージュなどの落ち着いたカラーが定番とされています。とはいえ、地味すぎるとせっかくのお祝いの席にそぐわない印象になってしまうことも。程よい華やかさを加えるために、次のようなカラーコーディネートを検討してみましょう。
・パステル系カラーをさりげなく
ライトグレーやペールピンク、サックスブルーなどの淡いカラーであれば、明るさや華やぎを出しながらも主張が強くなりすぎません。親族の落ち着きをキープしつつ、上品な雰囲気を演出できます。
・アクセントカラーを小物で取り入れる
ドレスやスカートは無地の落ち着いたカラーで、バッグやシューズ、ストールなどに少しだけ鮮やかな色を持ってくる方法もおすすめ。全体的に重くならず、親族席でも浮かない程度のポイントが生まれます。
同じ色でも、素材やデザインによってはフォーマル感が大きく変わるもの。30代前後の大人女性であれば、質感の良さや落ち着いたディテールを選ぶことで、自然に「上品」な印象を与えることができます。
・レースやシルク、光沢感のある生地
程よい光沢を放つサテン生地やシルク混のドレス、繊細なレースの袖があしらわれたトップスなどは、華やかさを演出しつつも清楚な雰囲気をキープできます。
・過度な装飾を避ける
スパンコールやビジューが全面的に散りばめられたドレスは、ゲスト席ならまだしも親族席では「派手すぎる」という印象を与えがち。適度なアクセントは良いですが、過度にならないように注意しましょう。
親族席では移動が比較的多い場合があります。受付の補助やゲストへの対応など、立ち歩くことも想定してシューズを選ぶとよいでしょう。
・ヒールは安定感を重視
極端に高すぎるヒールは疲れやすく、足元が安定しないため、3~5cmくらいのヒールがベスト。パンプスなら爪先が出ないタイプがフォーマル度の面でも好ましいです。
・バッグは小さめ&シンプルに
会場では荷物を預けることができるため、クラッチバッグやハンドバッグなどの小ぶりなものを選ぶのが基本。親族はほかにも雑務をこなすことが多いため、必要最低限の荷物を持ち歩けるサイズが理想です。装飾が少なく、派手なロゴやファーがついていないものを選び、華美になりすぎないよう心がけましょう。
結婚式の親族席には、留袖や訪問着といった和装を着用する人も少なくありません。和装ならではの落ち着きと気品を備えつつ、次のポイントに気をつけると安心です。
・着物の“格”を意識する
親族であれば、黒留袖や色留袖が最もフォーマル度の高い装いとして知られています。準礼装として訪問着や付下げを選ぶケースも多いですが、式場や新郎新婦の意向、親族全体の雰囲気によって判断しましょう。
・帯や小物で華やかさをプラス
黒留袖は落ち着いた印象になりがちですので、帯や帯締め、帯揚げなどの小物に上質なものを選ぶと、程よい華やかさと高級感が加わります。ただし、あまり派手な色や柄は避け、あくまで全体のバランスを崩さない程度に収めるのがポイントです。
ドレスや着物と同じくらい大切なのがヘアスタイル。親族席では、過度な盛り髪や色味の強いヘアアクセは避け、上品で落ち着いた雰囲気を目指しましょう。
・アップスタイルやハーフアップが無難
きちんと感のあるまとめ髪やハーフアップスタイルは、式場でも好印象を与える鉄板のヘアアレンジ。結い上げすぎない程度にボリュームを出し、フェイスラインを美しく見せるよう工夫すると、一層エレガントな印象に。
・アクセサリーは控えめに
華やかな場とはいえ、親族席ですから大ぶりのジュエリーはやや主張が強すぎることも。小ぶりのパールやシンプルなデザインのネックレス・イヤリングでポイントを押さえながら、落ち着きを大切にしましょう。
結婚式の開催時期や時間帯によって、親族席の服装も若干変わってきます。季節感を取り入れつつ、過度にカジュアルにならないよう注意しましょう。
・春夏
春夏は明るい色使いで華やかさを出しやすい季節ですが、昼間の挙式であれば特に「白」に近い色合いは花嫁と被る可能性もあるので注意を。露出度を控えめにするため、ボレロやショールで肩や二の腕をさりげなくカバーすると品よく映ります。
・秋冬
気温が下がる時期は、ジャケットやストールなどの防寒アイテムを追加。会場内は暖房が効いている場合が多いので、調整しやすいレイヤードコーデが便利です。秋冬ならではの落ち着いたカラーや少し重めの質感を使い、上品さを演出するとGOOD。
最後に、親族席で避けたいNGファッション例をいくつか挙げておきます。これらを知っておけば、失敗を未然に防ぐことができるはずです。
・花嫁と被る白系統のドレス
白は花嫁の特権とされる色。アイボリーや淡いベージュも、写真映りによっては白く見える可能性があります。必ず白いウェディングドレスと見分けがつく程度の色味を選んでください。
・丈の極端に短いスカート
披露宴や挙式にはフォーマル感が必要。ミニ丈すぎるスカートやショートパンツは親族として相応しくありません。
・カジュアルすぎる素材
デニムやコットン100%のカジュアルワンピース、ニット素材などは式場の雰囲気を壊す恐れがあります。親族席では特にきちんと感を優先するべきです。
結婚式は新郎新婦にとって人生の大切なセレモニーであり、親族はそのサポート役ともいえる存在です。そんな特別な席だからこそ、「落ち着きと品格」を基本としつつも、お祝いの気持ちをさりげなく表現する“程よい華やかさ”が求められます。
カラー選びや素材感、ヘアメイク、小物などの細部にこだわりながらも、主役である新郎新婦を引き立てる姿勢を忘れないこと。和装・洋装いずれの場合でも、「控えめだけど地味すぎない」バランスを追求すれば、親族席でも浮かず、かつ品のある装いを完成させられるでしょう。
ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、当日は安心して結婚式を迎えてください。きっと、周りからも「素敵な親族だね」と思ってもらえるはずです。親族という立場を存分に楽しみながら、心地よい装いで大切なセレモニーをサポートしましょう。